「見る自己啓発書」きっとうまくいく 考察

インド映画の金字塔「きっとうまくいく」の感想・考察を述べつつ、得られる4つの気づきを紹介します。

 

軽快なミュージカルシーンやインドの社会背景、そして人生で必要な事が満載のこの映画。インド国内には主に6つの宗教が混在していることから、映画はポップなスタイルで作成されることが多いです。そこで、「ナヴァ・ラサ」という9つの感情をすべて織り込みます。そのため笑いあり、涙あり、歌ありの様々な要素が満載です。

そう、まるでスタミナ太郎のような。

 

断言します。安っぽいタイトルの自己啓発書よりも断然ためになります。見終わった後の充実感が凄いです。”仕事 成功 本” などとググる前に鑑賞しましょう。

 

あらすじ

 

IT技術の著しい発達により格差・学歴格差が巨大な現代のインドでの、国内トップのエンジニア輩出大学ICEでの3バカが繰り広げる物語。

詳細な内容は、まさに「ナヴァ・ラサ」。この世のすべてがそこにあります。

 

①成功よりも優秀を目指せ

 

出世ではなく学識を目指せ。

成功ではなく優秀を目指せ。

成功はおのずとついてくる。」(原文ママ)

 

頭の切れる異端児ランチョーが発するセリフ。工学の本質的な理解や応用よりも、試験で高得点を獲得する結果重視の風潮を非難しています。根っから工学が好きで好奇心を原動力に勉強していた彼にとって、好きでもないのに仕方ないと割り切って勉強に取り組む生徒、またそれを押し付ける先生を疑問に思っていました。

 

異端児でありながら試験成績は学年トップのランチョーに対して親友の一人が「どうして1位を取れるの?」と尋ねたところ、彼は

「工学が好きだからさ」とシンプルに返します。かっこいい。

 

人間だれしも、これなら何時間でもやっていられる趣味があります。たまたまランチョーはその趣味が工学の勉強であり、主席を勝ち取るための勉強を彼は苦とは一切思っていません。しかし結果は1日16時間勉強しても2位だったチャトゥルを抑え1位。勉強時間のアドバンテージを好奇心が上回りました。

このことから、好きなことを突き詰める行動力は何事にも勝る優秀さを獲得でき、自然に結果はついてくるといえます。

 

ホリエモンらのインフルエンサーが言う「好きなことを仕事にする時代が来る」とはこういう意味でしょう。いやいや、1000円を書店で消費して得られる気付きを自宅で実質無料で得られるなんてすばらしい時代です。しかも楽しみながら。。。

 

②教科書丸暗記の無意味さ

 

チャトゥルの”ゴーカン” ”乳頭”スピーチから。映画の中で一番笑いました。彼はヒンディー語が苦手だったため、単語の意味を理解しないまま読み上げたため失態を犯しました。しかし本人は事態のおかしさに気付いていません。

 

教わった内容を自分なりにかみ砕いて理解するってすごく重要だと感じさせられるシーン。わからない単語の意味をそのまま放置しておくと将来赤っ恥をかいてしまう。そして本質的な理解が得られれば、応用が出来る。ランチョーが即席で生み出した数々の装置のように。

 

僕も電気系の工学部で現役で学んでいるけれども、真似する自信ないな。。。

 

③今しかできないことを逃さない

 

試験は何度でもある。父親は一人しかいない。

ラージューの父親が急病で病院に搬送された(した)シーンでランチョーが発したセリフ。なんとかっこいい綺麗事だろうか。我々も常日頃、タスクなどのしがらみに影響されてやりたいことを抑制されているだろう。社会人なら尚のこと。

 

結果、仲間に冷たく当たっていたラージューが観劇のあまり抱擁するハートフルな展開となった。自己犠牲の精神ってナイスですね。それを無意識にさらっと出来たらなお良し。また、冒頭の飛行機から脱走するクレイシーもきっと、この出来事を糧に思い切ったアクションを起こしました。ランチョーの影響力まじ安倍晋三

 

現状を一歩引いて眺め、冷静で大胆な行動を起こす必要性を感じます。

僕も友人の結婚式や妻の出産には必ず立ち会おうと決心しました。備えあれば憂いなし。

 

④社会勉強

 

自殺率が1位の国はインドです。インド国内では病死や事故死よりも自殺率の方が高く、深刻な社会問題となっています。韓国と似ていますね。どの職種に子供が就くかで一家の命運が分かれるといわれ、エンジニアは国内屈指の高給取りです。そのため、未来の栄光を信じ親子ともども必死になって勉学に励む様子が描かれていました。

 

目まぐるしい技術や社会の発展に犠牲はつきもので、その問題から目を背けてはいけないと思い知らされます。

 

映画内でも、ジョイ・ロボの首つり自殺や、ラージューが校長の圧力に耐えきれず飛び降り自殺を図るシーンがありました。一度の失敗が人生の失敗。そんなインドに希望を投げかけたランチョーの発言の数々が国民、否、世界の人々の胸を打ったのでしょう。

 

映画の醍醐味として、時代背景と社会背景を学習できる利点があります。監督が伝えたいメッセージは脚本に反映されます。それを読み取る経験を重ねれば、相手の意志を読み取る力も同時に養え、一石n鳥ですね。

 

見る自己啓発

 

僕はもう、代々伝わるベストセラー啓発書しか読めません。その他の大切なことは全て映画から学べるからです。気付きを得るための具体的なエピソードを。文字、セリフ、音楽、映像の様々な感覚でインプットする強みがあります。

 

巷に出回る自己啓発書は、成功に必要なプロセスを羅列してくれることです。しかし、羅列するのみで行動の原因・背景など本質的な理解には至れず応用として実践が難しいです。まさに ”ゴーカン” スピーチのチャトゥル状態。

 

ランチョーを目指し、僕は明日も映画を鑑賞します。じきに日本語字幕なしで洋画を見れればいいなあと期待を込めながら。